かんたを空に還した日 後編
火葬場付きの大きな斎場で、他に葬式をする人が何組もいたのでホールは喪服の参列者だらけ。うちは私服で赤ちゃんを抱いていて、明らかに浮いていました。最後にもう一度、みんなに抱っこしてもらいました。
担当者の案内で涼しい部屋に入ると想像よりずっと小さな棺がありました。ドレスと同じ真っ白なレース、ふたの裏にバラの花。90年代V系…とつい思ってしまうほど耽美な雰囲気。こんなに可愛いのを用意してもらえて良かったね。
納棺してふたを閉めるように言われ、かんたを一生分抱き締めるつもりでぎゅっとして顔をすりすりとくっつけました。夫も同じでしっかり愛情を伝えていました。二人の涙でびしょびしょになった顔を拭いてあげてから可愛いベッドの中へ。
前夜に夫が筆で書いた命名書とそれぞれからの手紙、神社で撮った親子3人の写真も一緒に入れました。お花はふたの上に。
あまり直視できなくて、このあたりの記憶がぼんやりしています。
担当者に案内されて見送りの場所へ。扉の横に名前が書かれていました。この扉はアトラクションの入り口でこれから楽しい乗り物に乗るんだよ、怖くないよ大丈夫だよと心の中でかんたに話しました。
扉が閉められ御焼香をすすめられた時、何かすがるものが欲しくてかんたをずっとくるんでいたブルーのタオルを抱きしめました。後ろから誰かが支えてくれたけど振り返ることができなかった。
タオルを抱いたまま待合室に戻り、扉の向こうのことは想像しないように普通に過ごしながら待つ。
このタオルを手離せなくなりそう、なんて思ってたら夫に同じ事をつっこまれました(^_^;)
あっという間に担当者に呼ばれて戻ると小さなお骨がしっかり残っていました。よかった…ちゃんとお腹で栄養取ってくれていたんだなぁ…。
骨壷には名前と「10ヶ月」と書いてありました。
ちゃんとお腹にきた時から数えるんですね(*´-`)なんだか嬉しかったです。
最後は担当のお兄さんが説明しながら丁寧に納めてくれました。夫が聞いたらここまで大きな赤ちゃんはめったに来ないそう。。
小さな骨壷を抱いてなんとかホールに戻りましたが、あまりの軽さに涙が一気に溢れました。